19 大沢宿〜20 今市宿 栃木県日光市(旧 今市市)
杉並木の入り口には、特別史跡・特別天然記念物の碑があった。 その隣には、松平定綱(1592-1652)の並木寄進碑があった。 碑の近くには、バイク乗りのオジサンがいた。私の自転車に興味を持ったのか、話しかけてきた。 色々と話をしていると、そのオジサンの数十年前の友人との自転車旅の話になった。 出発地は茨城県の自宅で、目的地は静岡の伊豆半島。ざっと250km〜300kmといったところか。
当時はロードバイクやクロスバイクなどというものはなく、使ったのは今のママチャリと変わらない自転車だった。
また当時はコンビニもなく、途中での食料の補給は困難だった。
そのため家から米を持って行き、途中で炊事場を貸してもらってその米を炊いた。
宿泊場所は、道中のお寺に頼んで、境内に泊めてもらった。 オジサンの話はわずか数十年前のことなのだが、私にはファンタジーのような印象を受けた。 数十年前というと、中学の歴史や公民で扱った話なのだ。 生まれたときからコンビニがあり、パソコンがある環境で生きてきた私にとって、オジサンの話は私の世界からかなりかけ離れているのだ。 そして今走っている日光街道は、さらに時間を遡った時代の話である。 だが自分にとっては、数十年前も数百年前も生まれる前の話なので、どちらの世界の想像も同じようなものなのだ。 そこで、想像力が非常に大事になる。十分な想像力を持っているとは必ずしも言えないが…… オジサンと別れ、再び日光街道自転車旅を続ける。杉並木の道を進む。 一度杉並木の道が途切れ、大沢宿のあった場所に着く。 過去に何度も大火があったらしく、当時を偲ばせるものはほとんどなさそうだ。 例の想像力を使って当時の状況をイメージしつつ通り過ぎる。 ここからしばらくは、国道と杉並木の道を行ったり来たりした。 少しずつ上っているはずだが、ほとんど意識することなく走ることができた。 東武日光線の高架を過ぎたら、間もなく今市の街中に到着した。 |
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