52 草津宿〜51 石部宿 滋賀県草津市〜滋賀県湖南市(旧石部町)
草津宿本陣に到着。立派な門と木造の建物がそのまま残っていて、迫力がありさすが国の史跡だと言える。 他にも、この辺りの旧東海道の木造建築物が並ぶ街並みは見ていて気持ちが良い。 ここ草津宿は東海道と中山道の分岐点であり、江戸時代には多くの旅人で賑わっていたようだ。 せっかくなので、是非名物のうばがもち(姥が餅)を食べていきたい。 うばがもちとは、餅をこしあんで包み、白飴と山芋の練り切りを載せた400年ほどの間変わらない草津名菓。 お茶屋さんになら売っているかもしれないと思って、近くのお茶屋さんに入る。 「うばがもちはここにはあらへんのです。国道沿いにうばがもち屋の本店があるし、 そこに行けば食べられるはずです。近いとこやと、草津の駅前にも確か店があったはずやので、どっちかへ行ってみて」 ここでは手に入らなかったが、うばがもちの情報はゲット。旧東海道を通って、草津駅へ。 途中天井川の下をくぐることになるが、その手前には東海道と中山道との分岐点である追分の道標の碑がある。 その先にある商店街を通ると、滋賀県内のJRの駅で一番乗者人員が多い駅、草津駅が見えてくる。人がけっこう多い。 駅前に交番があるので、そこでどこにうばがもち屋があるかをもう一度聞く。女性警官が、目の前の建物の2階にあることを教えてくださった。 交番の前に自転車を置かせてもらう。交番の前だからといって、鍵をかけないと盗まれることがあるというその警官の忠告通り、鍵をかけて早速その店へ。 「いらっしゃいませ!」 女性の店員さんが迎えてくれた。うばがもちは色々な個数が入った箱で売られていたが、その中でも一番安い6個入りのうばがもちを購入。交番前に戻り、早速食べてみる。 「……!」 甘さを抑えたこしあんが、上品な味だ。疲れた体に生気が吹き込まれる。それを味わっていると、地元のオジサンらしき人が話しかけてきた。 後で調べて分かったことだが、うばがもちは地元滋賀産のもち米を使っているそうだ。 有名な伊勢の赤福はあくまで国産のもち米であり、地元産のもち米を使っている訳ではない。 有名さでは負けているが、その点は草津は誇っていい部分だと私は思うのだが。 オジサンは話を続ける。 「もう3時半近いけど、今日はどこまで行くん?」 そう言われ、鈴鹿峠を登る途中で日が暮れたら危険だということを思い出す。 もう少しゆっくりしたかったが、宿場町を多少見学しつつ……となるとそろそろ出発せねばならない。 オジサンと別れ、また自転車をこぐ。 国道一号に戻り、東海道新幹線の高架をくぐると、現代の追分のある栗東(りっとう)が見えてきた。 右に行けば東京まで続く国道1号、左に行けば新潟まで続く国道8号だ (正確には京都からここまでの区間はこの2つの国道の重複区間となっている)。 滋賀県内の国道8号の大部分は江戸時代の中山道である。東海道は右なので、右へ進む。 野洲川の左岸を走っていると、次の宿場町、石部宿に到着する。 |
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