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49 土山宿〜48 坂下宿   滋賀県甲賀市(旧土山町)〜三重県亀山市(旧関町)

 土山宿には現代の旅人の休憩所といえる、道の駅がある。「道の駅あいの土山」だ。

 時間があればこの辺りの名物である鴨南蛮を食べたり、ちょっと旧道に入って昔ながらの町並みを見たりしたいが、 すでにヒグラシが鳴き始めている。日が落ちるのも時間の問題だろう。真っ暗の鈴鹿峠を越える勇気はないので、 土山宿はこの道の駅の前を通り過ぎるだけで訪れたことに無理矢理しておく。

 ここ土山には旧道沿いに東海道伝馬館という興味をそそられる施設もあり、機会があればぜひまた立ち寄りたいものだ。

 道の駅のすぐ近くにある平安時代の武官、坂上田村麻呂が祭られている田村神社の前を通り過ぎ、先を急ぐ。いよいよ鈴鹿峠越えだ。

 三重の鈴鹿の民謡、鈴鹿馬子唄にあるように「坂は照る照る 鈴鹿は曇る あいの土山雨が降る」と、 この辺りは天候が不安定らしい(この唄が先ほどの道の駅の由来になった)。 ただこの日は見事な夏晴れで、夕立もなさそうだ。

 鈴鹿峠までここから6kmほど。緩やかな上り坂が続く。車通りはほとんどない。

 夕方で、標高も多少あるからか気温もそんなに高くない。上ってなければサイクリングには気持ちいいコンディションだが、 何分荷物が重いせいでスピードが出ない。ただ、それは想定内の話。とにかくひたすらマイペースで登っていく。

 1つ目の上りと2つ目の上りを越えた。そのうち、滋賀県方面の道と三重県方面の道がそれぞれ一方通行の道となったと思ったら、 間もなく3つ目の上りが終わり、鈴鹿峠の上に来た。目の前には鈴鹿トンネルの入り口がある。 思ったよりも鈴鹿峠は滋賀側から上る分には大変ではなかったようだ。 鈴鹿峠の大灯籠は反対方向の一方通行道のほうにあるので、見ることはできなかった。

 鈴鹿トンネルを越えると、三重県の亀山市に突入。旧律令国で言えば、伊勢国に入ったことになる。 ここからしばらく下り坂。坂下宿も目の前だ。




. 再訪: 2015年09月01日

 東海道自転車旅から2年ちょっと経ったこの日。久々に近江の東海道を自転車で走っていた。 水口の宿場からさらに1時間ほど旧道を走っていき、土山の宿場に到着した。

 音に聞く通り、土山の街は良い雰囲気を醸し出していた。黄昏時で、通常より効果が上乗せされていたと思う。 上記の東海道伝馬館はもう閉まっていたが、本陣跡などの場所を確認しつつ、古い街並みのサイクリングを楽しんだ。 2年前にここをスルーしたのは、本当にもったいないことをしたと思った。

 だが先ほどまで土砂降り中を走っており、疲れは尋常ではなかった。とてもまだ三条大橋から60kmちょっとしか走ってないとは思えない。 しかし、さらなる試練はここから。2年前には避けることができた、真っ暗の鈴鹿峠を越えねばならない。

 道の駅あいの土山から、街灯などほとんどない国道1号を上ること30分。上記の鈴鹿トンネルに辿り着いた。 知った道だということから、ある程度は心に余裕があったと思う。 ただし、真っ暗な時の峠の下りはさらに危険が増す。まだまだ油断できない。


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