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45 庄野宿〜44 石薬師宿    三重県鈴鹿市

 小雨の中散歩していた地元の人らしきおばあちゃんに聞くと、道を1本間違えていたことが分かった。

 その道(旧東海道)を行くと、庄野宿の石碑があったので、今度こそ間違いない。 おや、あの建物が資料館だろうか? 多分そうだ。 いや、何かが変だ。駐車場にチェーンがかかっていて、駐車できないようになっている。

 資料館は見学は10時からだった。さすがにあと1時間は待てないな……。

 がっかりして、来た道を戻る。お、さっきのおばあちゃんだ。道を教えてもらったお礼をもう一度言う。

 「先ほどはどうもありがとうございました」
 「いやいやいいんだよ。お前さん、旅の途中かい?どっから来たんだい?」
 「はい、京都から来ました」
 「いや、たまげた。若いもんは元気があっていいねぇ。ちょっとうちまで来な。お茶を持っていきなさい」
 「え、いいんですか?ありがとうございます!」

 なんとおばあちゃんから差し入れ。おばあちゃんの家まで行って待っていると、 ペットボトルに入った手作り麦茶をくれた。本当にありがたい。

 「昔っからずっとこの場所に住んでんだ。この辺りには江戸時代の家も残ってるんだよ。 けど、若いもんはほとんどこの辺に残っちゃいない。これも時代の流れなのかねぇ……」

 おばあちゃんは無表情のまま、そう言った。 このおばあちゃんは自分のような若者を見たのが久しぶりだったのかもしれない。 それもあって優しくしてくれるのかも……と思った。

 「そうですか……。時代の流れは確かにあると思いますけど、でも、古い良いものは残っていくんじゃないでしょうか。 それはこれからの宿場町を見ていって考えたいと思います」

 そうおばあちゃんに言って、おばあちゃんに貰った麦茶を自転車のペットボトルホルダーに入れる。 お茶のお礼をもう一度言って、庄野宿を出発する。次は、石薬師宿だ。

 次の石薬師宿は、南にある石薬師寺の門前町だった場所。 そして、庄野宿と石薬師宿の間は1里(約4km)もないほど、隣り合った宿場町同士だった。 そのため国道1号を10分ちょっと走ったら、あっという間に「石薬師町」の交差点に着いた。


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