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31 新居宿〜30 舞坂宿   静岡県湖西市(旧新居町)〜浜松市西区(旧舞阪町)

 新居宿周辺の旧東海道には、道のところどころに「〜跡」という石碑がある。

 江戸時代、最大規模を誇った旅館、旅籠紀伊国屋の建物 (その時は知らなかったが、実は中は一般公開されていた)。 それからこの辺りの名物らしい「あとひき煎餅」の店(明治時代創業)。 それらの建物の先に、ここ新居宿の大きな目玉、現存する唯一の江戸時代の関所の建物が残っている、 新居関所に到着する。

 新居関所は江戸時代、東海道の2つの関所のうちの1つだった。 ここの関所で旅人は取り調べを受けねばならなかった。 特に、入り鉄砲出女、すなわち江戸に鉄砲を運ぼうとする者や 江戸から逃げ出そうとする大名の家族の女性だと疑われる者は取り調べが相当厳しかったようだ。

 しかも江戸時代はこの新居宿から次の舞坂宿までは浜名湖を船で渡っていた。「今切の渡し」である。 そのため、船は関所に直接入ったり関所から直接出たりしていたので、 この関所の取り調べは否応なしに受けねばならなかった。

 それを嫌った旅人は前に述べた御油宿と見附宿を結ぶ脇街道、姫街道を歩いた。

 今回は外から様子を見るだけで、関所を通過する。 当然のことだが現在は浜名湖に橋が架かっていて、船を使わずとも移動可能だ。 橋を渡って、浜名湖の中にある島、弁天島へ。

 弁天島は温泉・ホテルなどが立ち並ぶリゾート地だ。 本当は昨日、この近くにあるキャンプ場に宿泊する予定であった。 今考えると、もし昨日ここまで来たとしたら、昨日の名古屋着の時間を考えると 到着時は真っ暗になっていただろう。名古屋泊は正解だったといえる。

 ここで、自分と同じ荷物をたくさん積んだ自転車乗りが道の反対側を通り過ぎる。 自転車の後方には、「日本一周挑戦中」と書いてある段ボールらしきものがくっついていた。 彼もまた同じ旅人なのだろう、日本一周成功をひそかに応援する。

 弁天島を渡れば、静岡県西部随一の都市、浜松市に入る。舞坂宿はすぐそこだ。


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