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18 江尻宿〜17 興津宿   静岡市清水区

 現在、この辺りは「江尻」という名よりも、港の名前や清水次郎長の名前である 「清水」で知られる。昨年2013年世界遺産になった富士山の構成資産の三保の松原がある。 ここは、天女の羽衣伝説で知られている。また、漫画「ちびまる子ちゃん」の舞台や、「シーチキン」の誕生の地でもある。

 そんな印象の薄い江尻宿ではあるが、この宿場町には300年間の伝統がある名物、「追分羊羹」がある。 竹の皮でくるんで蒸し上げた羊羹で、断面も通常の羊羹のように長方形ではなく楕円なのが大きな特徴である。 旧東海道沿いに店があるので、そこへ向かう。

 しかし、時間がまだ朝早かったのか、旧東海道沿いの本店はまだ開いていなかった。 もう一つの、国道1号沿いにある店に行く。そちらは開いていた。よかった、早速中に入る。

 「いらっしゃいませ!」

 中には女性店員が2人いた。ショーケースを覘くと、いちばん基本的な羊羹と栗入り羊羹があった。 どちらにしようか迷っていると、若い女性店員が声をかける。

 「試食してからお決めになればよろしいかと。あちらで試食ができますので、どうぞしていって下さい」

 言われた通りに試食する。竹の皮の香りが良い。一つ口に入れると、羊羹はもっちりとした食感で、 あっさりとした甘みが口に広がった。普通のやつも栗入りのやつも絶品だ。

 「自転車でいらしたんですか?どちらからいらしたんですか?」

 どうやら外に止めておいた、荷物をたくさん積んだ自転車に気付いたらしい。 京都から来たこと、東海道の53個の宿場町巡りをしていて、江尻宿で追分羊羹を食べるためにここに来たこと、 明日、ゴールの東京日本橋に到着予定のことなどを話した。

 「一昨日から今晩まで清水みなとまつりなんですけど、夜まではいられないわよね。 今度来る時があったら、その時期にぜひまた来てくださいね」

 行動食用に栗入りの一口羊羹を購入して、お礼を言って出発する。さっきの旧東海道に一度戻る。

 朝だというのに子供神輿が。清水の街はお祭りムードである。

 江戸時代から伝わる河童伝説のある稚児橋を渡ると、 結局国道1号に出てしまった。清水駅前を左に曲がって、しばらくそのまま国道1号を進むことにした。

 静清バイパスに車通りは流れているので、国道1号旧道はあまり車が多くない。 そんな走りやすい道を行くと、興津宿に着く。


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