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10 箱根宿〜09 小田原宿    神奈川県箱根町〜神奈川県小田原市

 箱根には、東海道では新居宿と並んで関所があった場所だ。江戸側から見たら初めの関所、 上方側から見たら最後の関所。復元されたされた関所の前に向かう。

 到着。ここには何回か来たことがあるのだが、今回は特別だ。なにしろ京都から走り続けてここにいるのだから。

 もともと温泉地として有名だった箱根。明治時代以降はリゾート地としての側面を持つようになる。 戦後には観光地開発が行われ、戦争とも言われるほどの巨大企業グループ同士の観光客輸送競争もあった。

 そんな変遷の後、現在箱根は観光地としての立場をゆるぎないものとしている。 この日は日曜日だということもあり、家族連れなどの観光客が多かった。 もっとも時刻は午後5時過ぎなので、人混みと言えるまで混んではいなかったが。

 箱根宿を出発して、しばらく山の中を進むと元箱根に出る。 近くには旅館やホテルが立ち並んでおり、観光地として賑わっている。 ここからもう一度、3km弱の上り坂がある。歩いている訳ではないので足が棒になるという表現はおかしいとは思うが、 もうヘトヘトだ。それでもありったけの力を振り絞って上る。 夕暮れが近く、ヒグラシが鳴き始めている。暗くなる前に何としても小田原まで行きたい。

 とうとう、国道1号最高地点に到達した。そこにある看板によると、標高は874m。 もうこの旅では、これ以上高いところには行かなくて済むのだ。時刻は午後5時20分。 まわりは高い木などなく、空が見事に見渡せる。ここからしばらくは貯めてきた位置エネルギーに身を任せることにする。

 下りは、さっきまでの上りとはスピードが全然違う。時速40km近いスピードで下っていく。 下りは肉体を休ませることができるが、精神は上り以上に注意を払わねばならない。 一瞬でも気を抜くと、命に関わる。

 途中、自転車トレーニングで坂を上っている人に10人近く会った。 三島側からは少なくとも自分が通ったときはそのような人はいなかったが、小田原側からはたくさんいるのだろうか。

 神奈川側の箱根からの道には観光業を生業としている家や旅館・ホテルが国道1号沿いにたくさんあった。 箱根駅伝の5区、通称山登りのルートを駆け下りていく。

 あっという間に、箱根登山鉄道の箱根湯本駅に着いた。 ここまで国道1号最高地点からわずか30分。いかに下りが速いかがよく分かる。 小田急電鉄の特急、ロマンスカーが東京新宿からこの駅まで走っており、東側の箱根の玄関口と言える駅である。 時間帯が時間帯なだけに、箱根から帰る人でごった返している。天下の険である箱根の山を越えてきたのだ。

 国道1号は早川に沿って進む。その先の有料道路入り口を過ぎたところにある案内標識によれば、 平塚まで24km、横浜まで58km、そして東京まで90km。今日は平塚まで走ることに決定。 下り坂の間に随分と体力が回復したようで、当然のことだが上り坂よりはるかに速く走ることができる。

 そうして、小田原市の中心街に入っていく。


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