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06 藤沢宿〜05 戸塚宿    神奈川県藤沢市〜神奈川県横浜市戸塚区

 今こそ江の島・湘南海岸の方が有名になった藤沢だが、 江戸時代は一遍が開祖した鎌倉仏教、時宗の総本山である遊行寺(ゆぎょうじ)の門前町として栄えた所だった。 もちろん遊行とは「遊びに行く」の意味ではなく、行脚の意味である (とカンニングしながらここに書くダメ学生……)。

 そんな遊行寺を訪れる。自転車を押しながら進むと、熱田神宮の時みたいに自転車で入ってはいけない所まで 入ってしまったらしく、お坊さんに注意されてしまった。入り口の所に止めていくように言われたので、 入り口まで一度戻ることになった。

 見学し終えて再出発。ここからまた東海道を進んでもよいが、今日は時間があるので、せっかくなので 鎌倉の鶴岡八幡宮へ寄り道をすることに。というかここまで来たからには、鎌倉へ寄って行かない手はないだろう。

 朝御飯を食べていなかったので、コンビニに寄っておにぎりの朝食を済ませて再出発。 ここから鎌倉への道は、地味に上り坂と下り坂がある。普段は大丈夫なレベルの坂だが、 たまった疲労がある今はつらい。前にいる自転車乗りのオッチャンは余裕そうだというのに……。 頑張って上って下りて、鎌倉市内に入る。

 大船駅の近くで通算20回目くらいの迷子に。ここで迷うと無意味な山道を上らなければいけなくなるので、 これはとっとと地元の人に聞くのが早そうだ。前からくるオバサンに道を聞く。

 「すいません、鶴岡八幡宮へはどうやって行けばいいですか?」
 「ああ、それならこの道を戻ってすぐの交差点を右に曲がれば大きな通りに出るから、 そこをさらに右に曲がる。その道をずーっと行けばいいですよ」

 どうやらこのまま進んでいたらぐるっと回らなければ鶴岡八幡宮に行けなかったらしい。 頼りになるのはやっぱり地元の人の情報だ。

 オバサンは自転車に積んでいるたくさんの荷物を見て、どこから来たのかと尋ねてきた。 そこからはいつも通り、京都から来た、東海道五十三次自転車旅の途中、寄り道で鶴岡八幡宮へ行く、 今日いよいよ東京日本橋へ到着するという話の流れになった。 荷物の量から遠くから来たことは予想していたようだが、さすがに鎌倉から450kmも離れた 京都から来たとは思っていなかったようで、かなり驚かれていた。 それからここから50km近くも遠い東京日本橋まで今日中に行くということもびっくりされていた。

 オバサンに言われた通りの道を進む。横須賀線北鎌倉駅より先は、 観光地鎌倉を訪れる人が平日だというのに多い。 臨済宗の一派の総本山、建長寺の前を通り過ぎると下り道。 今は助かるが、帰る時には逆に上らないといけないのは勘弁してほしい。まあ後のことは後で考えよう。

 鶴岡八幡宮の西門付近に到着。いつもの通り有料駐車場のところに自転車を無料で置かせてもらおうとしたが、 ここはそれを拒否されてしまった。駐車場の管理人の言い方に内心ムッとしながらも、仕方がないので先に進み他の場所を探す。

 今度は別の有料駐車場の人に聞いてみる。すると、駐車場の中は無理だが、 近くのフェンスに立てかけておけば良いと教えてもらった。 言われた場所に自転車を止めて、鶴岡八幡宮の参拝入り口に向かう。

 鎌倉は御存知鎌倉幕府が置かれた場所で、古都と呼ばれる街の一つである。 江戸時代当時から、江戸からそんなに離れていないという点もあって、鎌倉は観光地であった。 明治時代にも軍港横須賀への鉄道の経由地となったこともあり、観光地としての性格はますます濃くなっていった。 昭和の鎌倉攻め(高度経済成長期の大規模開発)も古都保存法という法律で守り切り、現在に至っている。 鎌倉市は現在、鎌倉の建造物を世界遺産に登録させようと努力している。

 そんな鎌倉の中心的存在の鶴岡八幡宮は、源頼朝が鎌倉幕府の中枢の施設を整備していった時に中心にした建造物である。 江戸時代には江戸幕府の庇護を受けて規模が大きくなった。 現在も鎌倉大仏と並んで鎌倉の有名な観光スポットであり、実際外国人の観光客も多かった。

 参拝を済ませて、ここから横浜まで自転車でどれくらいかかるのかを警備員に聞く。 その人も自転車に良く乗るらしく、迷わなければ1時間で着くことを教えてくれた。 自転車に乗っている人の時間はけっこうあてになるので、ありがたい。 まあ迷うし、横浜までの宿場町2つも見ていくので、2時間ちょっと見ておいたほうがよいだろう。

 記念撮影をした後、来た道を戻る。来たときに下った道を必死に上って、 体力を消耗したがなんとか大船駅まで戻ってきた。ここからわざわざ藤沢まで戻ることはせずに、 次の宿場町、戸塚宿へ直接向かう。

 川沿いに進めば良いことが地図を見て分かったので、その通りにする。 すると、すぐに横浜市に入った。もちろん横浜市街地まではまだまだ先だが、 それでも境界を越えるとゴールが近づいていることを実感する。

 とにかく沿って住宅街を進むと、歩行者・自転車専用道となった。 しかも、自転車と歩行者の道も分かれている。これはここを通れと言っているようなものだろう。 ありがたく車の心配をする必要のない道を快適に進んでいく。

 国道1号とは全く雰囲気が違う、住宅街の歩行者・自転車専用道は本当に気分が良い。 植木があることもプラスポイントだ。そんな道を堪能しつつ、あっという間に戸塚駅まで来た。


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