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 始 三条大橋〜69 大津宿    京都府京都市東山区〜滋賀県大津市

 東海道や中山道の起終点の三条大橋は、住んでいる下宿から歩いて数分のところにある。 京都の繁華街の木屋町通・河原町へ買い物や食事、あるいは遊びに行くとき必ずその橋を渡る。 ただ今回はいつもの通り道ではなく、由緒正しい立派な旅の出発地だ。

 天気予報によれば、この日は雨が降る予報。ただ、そこまで強い雨にはならないようだ。 朝7時半の三条大橋の天気は曇り。もしかしたらこのまま降らずに済むのではないか……と99%当たらない甘い期待を抱く。

 東海道の時と同じように、三条大橋西詰にある弥次喜多像前で写真を撮る。 十返舎一九の東海道中膝栗毛の主人公、弥次郎兵衛と喜多八の像だ。 そして、三条大橋東南にある土下座してない土下座像、高山彦九郎の像。 合計3人の像に見送られて、遥か彼方の江戸日本橋に向けて出発する。

 まずは10kmほどしか離れていない、滋賀の県庁所在地の大津を目指す。 この道はサークルで良く通る琵琶湖方面への道なので、見慣れた道であるが。

 京都盆地の東にある東山をまずは軽く越える。大学に入ってから自転車を始めたので、 2年前には蹴上からの東山越えがけっこう大変だったが、本当に今は普通に越えられるようになった。 ただ今回は山道メインの道なので、そんな余裕なことを言っていられるのも今のうちだろう。

 東山を越えると、天智天皇の陵の側を通って山科へ。東海道本線の高架を過ぎて、左に曲がって旧東海道を進む。 所々に旧東海道であった痕跡が残っている。

 山科駅・京阪の四宮駅を通り過ぎれば、もう滋賀県に入る。 つまり旧国名なら、山城国から早くも近江国に入ったことに。

 ここから逢坂の関を越えていく。百人一首の蝉丸の有名な「これやこの行くも帰るも別れては 知るも知らぬもあふ坂の関」の逢坂の関だ。緩やかな上り坂が数km続く。

 ここも難なく乗り切った……のなら良かったのだが、早くも雨が降ってきてしまった。 さっき抱いた甘い希望は早くも打ち砕かれた訳だ。がっかりしていても仕方がないので、 京阪の大谷駅の近くにある飲食店の軒下で雨合羽を着る。目の前には、蝉丸の和歌が書かれた看板が立っていた。

 逢坂の関を越えて、下り坂をスピード上げて下っていく。蝉丸神社の横を通り過ぎて、大津市街地へ。


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