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55 美江寺宿〜54 河渡宿   岐阜県瑞穂市(旧巣南町)〜岐阜県岐阜市

 美江寺宿は木曽三川の渡しで栄えたが、規模はとても小さい宿場だった。 地名の由来になった「美江寺」という寺は元々この場所にあったが、 戦国時代に岐阜市内に移されたため現在はない。

 ここ美江寺では、美江神社の美江寺観音堂を見ていく予定だった。 だが、どこにいるのかよく分かっていない中、探すのは大変だ。 スマホのGPSはそこまで性能は良くないので、どこにいるかがはっきりと絞り込めないのだ。 また周囲の建築物から情報を得ようとするが、街灯も少なく、周りは田んぼか畑なので、有力な情報が得られない。 自分の持っている地図の縮尺も、14万分の1の広範囲のものということもあった。

 一度、神社らしき建物を見つけ、これか! と思ったが違った。 色々うろうろしていたが、美江神社は発見できなかった。 そこでもう何でもよいから、美江寺宿にかかわるものを見つけようと変更。 雨の中、真っ暗な道をとにかく探す。

 ようやく1つ、美江寺宿の痕跡を見つけた。写真にある、千手観音堂である。 天保4年(1833年)に、ここに石造りの千手観音を祀ったらしい。お堂の中に今でもちゃんといらっしゃるようだ。

 とりあえず一つは宿場の遺構を見つけられたので、美江寺宿を急いで出発する。 実はGPSロガーのデータを見てみると、出発した直後に元々探していた美江神社の横を自分はちゃんと通っている。 だが、まったくそれに気づいていなかったようだ。それほど精神的・肉体的に追い詰められていたということか。

 次の河渡宿はもう長良川にかかる「河渡橋」を通ることで宿場を見たことにすると決めていたので、 とにかく岐阜県道92号を東へ走る。もう暗い中道を探さなくても良い。峠は越えた。

 ひたすら走っていると、自転車のライトがどんどん弱くなっていることに気付く。 ただ、一刻も早く進みたい気持ちが電池を買って代えるというわずかな時間を躊躇させる。 だが周囲が見えないと命に関わるので、無理矢理自分を制して見えてきたコンビニで長持ちの電池を購入した。 電池を代えて、再出発。かなり明るくなった。


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