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54 河渡宿〜53 加納宿 前半   岐阜県岐阜市

 長良川のほとりに着いた。念願の「河渡橋」だ。この日訪れる最後の宿場、河渡宿もこれで制覇した。

 河渡(ごうど)は長良川の右岸にあった宿場。川が増水した時には小さい宿場ながら賑わったという。 しかし現在では、その後の戦災や川の改修工事などで当時の雰囲気はまったくない。

 ただ、ここ河渡宿では見逃せない重要なものがある。それは、「小紅の渡し」だ。

 河渡橋ができると、もちろん長良川を船で渡る「河渡の渡し」は無くなった。 だがここより少し上流にある、中山道の裏街道の渡しの「小紅の渡し」は現在でも活躍中だ。 しかも無料で、その上自転車も運んでくれる。これを是非とも体験したかったのだ。

 もちろん夜9時半にやっているわけないので、小紅の渡しは大人しく諦め、河渡橋を渡る。

 あとは泊まる場所まで移動すれば良い。今日泊まるのは、岐阜市内の健康ランドだ。 国道21号の近くにあるので、残っている力を振り絞ってそこを目指す。

 河渡橋を渡ってほどなく、南北方向に走る県道があるのでそこを南に進む。 そして、とうとう国道21号に戻ってきた。国道21号の案内標識が、国道に戻ってきたことを実感させた。 「各務原 13km 美濃加茂 31km」。この看板を見たとき、どれほど嬉しかったことか。 幹線道路が本当に明るいこともあって、もう少しで涙が出そうだった。 冗談抜きで、無人島に漂流した自分が数年ぶりに船に発見され、救出されたような気分だった。

 最後の力をフル稼働させ、この日の目的地、「東洋健康ランド」に到着した。 朝まで滞在して、1400円。とにかく安い。 だがそんなことよりも、今日の長旅を無事終えられたことにただただほっとしていた。

 健康ランドの温泉に浸かり、冷え切った体を温める。 地獄から這い上がり、天国に来たような気分だ。 そのあと仮眠室へ行って、すぐに眠りについた。

 この日の走行距離は144kmで、予定より15kmほど長かった。明日はこんなに無理のないようにしたいものだ。


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