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49 御嶽宿〜48 細久手宿   岐阜県御嵩町〜岐阜県瑞浪市

 旧道を進めば、名鉄御嵩駅に到着。名鉄の駅としては、一番北東部にある駅だ。 駅前には、トレーニング中と思われるチャリダーさんが何人かいた。

 御嵩町は濃尾平野の端にある町だ。江戸時代にはここに御嶽宿があり、この近くの天台宗万願寺の門前町として栄えた宿場だった。 400年前の本堂や多数の仏像が、現在重要文化財に指定されている。

 明治以降に石炭脈が見つかり炭鉱の町として栄えたが、昭和中期までに全て炭鉱は閉鎖された。

 昼食が太田宿で1人前食べただけだったので、ここ辺りで間食を取るつもりで「御嶽宿わいわい館」に寄ろうとした。 しかし……

 「休館日:水曜日」

 幟が経っていたのに定休日とは……昨日の守山宿〜武佐宿間にあった道の駅も定休日で、焼き立てパンが食べられなかった。 今回の旅は食事処の運が向いていないということか。 後で調べて分かったことだが、もし開館日ならここで地元中学校が生産するお茶やコーヒーを味わえたようだ。 まあ仕方ない。

 間食を取る代わりに、ここ御嶽宿では「商家竹屋」に寄る。 明治初期に建てられた建物で、町の有形文化財に指定されている。 見学料がかからないのもありがたい。

 中は、無料で開放している展示施設とは思えないほど充実している。 座敷や茶室など、旧家としての趣があり見所はいっぱいだ。 造りを見ていると、住む家ではなく商売専用に造られた建物というのがなんとなくわかる気がする。 それからここの奥の展示棟には機織り機があって、案内によると格安で機織り体験もできるようだ。

 御嶽宿はこのくらいにして、次の細久手宿を目指す。

 新道の国道21号・19号は、ここから土岐市・瑞浪市を経由して恵那市(大井宿)へ至る。 しかし細久手・大湫の宿場は国道とはルートが違い、山の中の宿場だ。 少ししんどいが、山道を上っていくしかあるまい。

 本物の旧中山道は雑木林の中にある。いくらなんでも自転車では無理だ。 そこで、分かりやすい道で、かつそんなに旧道から離れていない舗装路を進む必要がある。

 持っている道路地図とにらめっこすると、地図には緑色で描かれた岐阜県道65号。 この道を進めば細久手の集落へ行ける。 

 という訳で国道を進んで左折し、その道に入った。国道に近いところでは田畑や家があったが、そのうち森の中を通る道になるのだろうか。 そんなことを考えて、山道を走る心づもりでいた。

 ところが、なんとその道は通行止めだった。崩れた法面(のりめん:人工的な斜面)を直しているのだという。 予想外だ。作戦変更。来た道を引き返す。

 再び地図とにらめっこ。もう少し国道21号を進めば鬼岩温泉という温泉があるが、そこに岐阜県道366号という黄色で描かれた道がある。 その道なら、さっきの通行止めの道の先にいずれ合流できる。もう少しだけ国道を進む。

 その鬼岩温泉に到着。しかし、進むべき道は斜度がキツく、生半可な気持ちでは心が折れそうだ。 近くの自動販売機で飲み物を買って一息入れ、覚悟を決める。

 時々自転車から降りて押しつつも、何とかキツい上り坂を上っていく。 途中なぜか左手にプールがある廃墟があった。しかもそのプール、市民プールほどの規模があるのだ。山の中だというのに?

 廃墟に疑問を抱きつつ進んでいくと、松野湖という湖に出た。御嵩の宿場を流れていた可児川を遡っていくと、ここに出るらしい。 しかし、ここでも道路工事の立て看板がある。また戻るということになるというのか。 まさかと思い、近くにいた工事のオジサンに聞いてみると、幸いなことに自転車は通れるそうだ。一安心。

 道はその湖を半周することに。静かだ。聞こえてくるのはトンビの「ピーヒョロロロ」という声だけだ。

 進むこと十数分。なんとか旧中山道に合流した。 近くに止まっていたトラックには、土木工事の若い兄ちゃんがいた。自分より少し年上……といったところか。 地図を後ろの荷台から取り出してルートファインディングしていると、彼が話しかけてきた。

 「どっから来たの?」
 「京都からです」
 「京都ぉー? 何日で?」
 「昨日の朝出発してきました」
 「へぇー、2日でここまで来られるんだね」

 確かにここまで2日で来られるけど、かなり無理している気がする。 普段トレーニングをもっとやっていれば、余裕なのかもしれないが。

 頑張ってルートファインディングしたにもかかわらず、どの道を進めば良いのか結局分からなかった。 だが適当に進んでいると、「→ 細久手 1km」という案内板を見つけることができたので助かった。

 この時点で時刻は既に15時半近い。御嶽の宿場を出て1時間半以上も経っていた。 


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