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43 馬籠宿(後半)〜42 妻籠宿 岐阜県中津川市(旧長野県山口村)〜長野県南木曽町

 翌日は小降りとは言え、やはり雨だった。馬籠の街を少し歩く。

 散歩の後は朝ごはんを食べに、食堂へ。昨日のスウェーデンからの旅行者2人、そしてアメリカからの御夫婦がいた。 日本人で宿泊したのは自分だけだったようだ。

 食事中、彼ら彼女らと色々な話をした。 日本の食事の習慣の話題になった時、「いただきます」の挨拶を紹介した。 外国語に翻訳しにくいこの言葉。 "Let's eat !"とはニュアンスが違い、説明がしづらかった。 また、箸を使って海苔でご飯を巻く食べ方にも驚いていた。

 さて、今日はどこまで行こうか。あまりにも雨がひどいのなら馬籠峠だけ越えて妻籠で一泊……と考えていたが、そこまで雨は強くない。 そうすると、木曽福島か塩尻か……あまり雨の中遠くには行きたくない。

 迷った末、目的地は洗馬宿(長野県塩尻市)にすることにした。ここから85kmほど。 宿を予約してしまうと、そこまで嫌でも行かなくてはならなくなる。だが敢えてそうする。

 民宿の御主人と彦根に行くスウェーデン人の2人に一言言ってから、荷物をまとめて合羽を着て、馬籠宿を出発する。

 石畳の馬籠宿を自転車を押して、車が通れる道まで行く。途中の島崎藤村記念館・馬籠宿本陣などは今回は省略。またの機会ということで。

 道路に出たら、あとはひたすら県境まで走る。昨日中津川から馬籠まで300m上ってきたが、馬籠から馬籠峠までさらに200mも上る。 雨で手袋は濡れて、手先の感覚は既になくなりつつある。

 馬籠・妻籠の宿場が有名な観光地だからか、馬籠〜妻籠間の旧中山道はハイキングコースとして有名。 中山道のハイライトと言えるだろう。 だが3月の寒い雨の中、ハイキングをしている人など一人も見なかった(まあ至極当然ですね)。 もちろん自転車の場合、登山道は諦めて舗装路を進むべきなのは言うまでもない。

 30分ほどかけてゆっくりと上り、馬籠峠に到着した。現在はここが岐阜と長野の県境だ。 息が上がっているが、気温が低いので止まり過ぎるとあっという間に体が冷えてしまう。

 休憩はごく短時間にして、馬籠峠から妻籠の宿場まで一気に350mほど下る。 普通は天国なはずの下り坂だが、今日は違う。風がもろに当たって体温を奪っていくのだ。 所々道路が凍っていたり雪が残っていたりしているので、いつも以上にスピードを出し過ぎてコントロールを失わないように気をつける。

 下った先の突き当りを左に曲がる。もしここを右に行けば、木曽山脈を越えて飯田に行ける。 中山道と伊那街道(三州街道)を結んでいた「大平街道」というやつだ。 この街道の途中にあった大平宿は、高度経済成長期に廃村になった宿場。 現在は電気・水道が使用できて宿泊もできる江戸時代の建物群として保存されている。


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